「ご主人様ッ☆」

赤い髪。

黒目がちのどんぐりみたいな目。

ふさふさの耳を在らぬ所から生やし,

犬のそれと同じように左右に揺れる尾。

何故メイド服?…を着たこの少年がつい数刻前までの,

赤丸だなんて一体誰が信じると言うのだろう?




秘蜜*




「…化薬」

今日は月に一度の闇市の日だった。

各地で闇市の日時は違うが,深夜…と言うのは常である。

キバがこれに通う理由は一つ。

意外な掘り出し物とかがあるからだ。

稀にトレードを申し込んで来る者もいる。

今夜は…可笑しな物が手に入った。

 化薬 と書かれたそれは見るからに怪しい。

戸瓶のパッケージはもう殆どが剥がれ落ちてしまって,

かろうじて化薬と言うのだけが見て取れるだけなのだ。

一体何年前の物なのか…。

その前にこれは飲むのであろうか?

丸薬みたいに見えない事もないが…。

「・・・」

自分で飲むのはイヤだ。

子供だけど,来れでも忍。

死を恐れているわけではない。

ただ…自分が所持していた薬を飲んで,死ぬだなんてバカな真似だけは止めたい。

それこそ、未来永劫笑い者にされてしまう。

それだけは…イヤだ。

 


一瞬。



ほんの一瞬の間にそれは起こってしまった。

赤丸が…キバの持つ丸薬3錠をぺろりと舐めきってしまったのだ。

「!!!!!!!!!!!!!!!!」

時既に遅し
。
赤丸は満足そうな顔をして,尾を振っている。

丸薬は…もう,胃の中。

吐き出ささなければ…と思う気持ちとは裏腹に

化薬の効果を観てみたい…と思う気持ちも在る。

しかし…・人間用のこの薬を飲んで,犬に害は及ばないのだろうか?

変な副作用が出たら如何しよう?

色んな考えが頭の中に浮かんでいた。




赤丸には微妙な変化が起こっていた。

体毛は急に短くなり,

顔は人のそれに酷似し,

手足はすらりと長くなった。

少年のような容姿になった赤丸。

くるくると回っては自分の容姿に魅入っている。

不自然に生えた耳と尾が気にはなるが,

妙に良くにあっている。

急に現れた人の気配…。

その変化にようやく気がついたキバは

その方向の…赤丸が居た場所を見た瞬間言葉を失った。

「ご主人様☆見てください。僕…人間ですよ!」





こうして…。

赤丸は,半妖になってしまった。




* * * * * * * * * * * *




「ご主人様ー朝ですよッvvv」

アレから既に3日経った。

赤丸が元に戻る気配は全くと言って良いほどない。

それに加え赤丸は、まるでメイドのような振る舞いを見せる。

掃除洗濯食事…。

何でもやってのける。

「今日の朝食はご飯と味噌汁と卵焼きです☆」

ほかほか。

美味しそうな香りが漂う室内。

赤丸は…犬のくせに料理が妙に美味かった。

「…いただきます。」

ぱむ。

食べ始めると、赤丸は隣で嬉しそうに笑っている。

「美味しいですか?」

きらきらな瞳。

犬は…オスメスの顔の造りとかが余り変わらないからだろうか?

ぱっと見ると…赤丸は女よりも可愛い顔をしている。

「旨い。」

そう言うだけで、赤丸は花みたいに綺麗に笑い、

ホントですかぁ?

と言いながらキバにじゃれ付いてくる。

じゃれ付き方は…犬の頃と何も変わってはいないのに、

時々…凄くドキッとするのは何故なのだろう…?


なんだかなぁ…。




夜。




「ふぁー★イイお湯だった★」

ぽたぽたと髪についた雫を落としながら

赤丸は風呂から上がって来た。

「ちゃんと拭けっていつも言ってるだろ?」

キバは赤丸が首から掛けているタイルを奪い、ごしごしと頭を拭く。

されている赤丸は、大人しくされるがまま。

「ふふっvv嬉しいなぁ」

クスクスと笑い声を漏らしながら、赤丸が嬉しそうな顔をする。

「何が?」

聞き返しはするが、手の動きは止めない。

「僕…ご主人様とこういう風に過ごすの夢だったんですよ?」

無垢な眼差しをキバに向ける。

暫しの沈黙。

「僕…ずっとご主人様の事好きでしたから。」

言うが否や。

赤丸はキバに抱きついた。

「ずーっとずーっと。僕には貴方だけでしたから」


今までも、コレからも…ずーっと。


潤んだ瞳。


赤丸の大きな思いに…


飲み込まれそうになっている。


今までにない感情は


恐怖となって…キバを襲った。



「やめ…」

口から出たのは…拒否と否定。

刹那…。

赤丸は…溢れんばかりの涙を目に溜めて…いた。


「そ…ぅですよね…僕は…ただの犬で…


 貴方は…ヒト。


 ゴメンナ…サイ。僕…自惚れて…まし…た。


 ご主人様が優しいから…もしかして…って…


 バカです…よね…。」


拭わない涙。

頬を伝って一筋の線が出来る。

悲痛で…痛切。


「ちが・・ぅ」

手を伸ばそうとして…

それは妨げられる。


「ゴメンナサイッ!」


赤丸は…家を飛び出していった。

外は…

雨だった。





* * * * * * * * * * * *




「うっぐ…ひっぐ…ふぇ…」

涙は何時まで経っても引かなかった。

それどころか

止め処もなく溢れてきていて…。

泣けば泣くほど…胸がはちきれそうに鳴っていた。


キラワレタ


その言葉が永遠かと思われるほど頭の中で反芻され続けていた。

あの頃の…犬の頃の時のが良かった。

手放しの愛情を受けれて

自分も精一杯の気持ちを返す事が出来た。


しかし今はどうだ?

結果…キバを苦しめる事になっている。

半妖の姿。

主人と犬以上の関係を求めてしまった。

「バカだ…僕は…」

何故…満足できなかったのだろう?

何故…求めてしまったのだろう?

今までの関係でさえ…十分だったのに…。


でも…押さえきれない想いは…


いまだ胸にしこりとなって残っていた。






「赤丸!」






幻聴だろうか?

キバの声が聞こえた。

顔を上げて

声の方向を見つめる。


そこには…

やはり…






「ご主人様?」






「やっぱりここか・・・」

息を切らして…雨に濡れたキバが…そこには居た。

信じられなかった。

「帰ろう?うちへ」

キバは…赤丸へ手を伸ばして微笑んでいる。

すぐにでも抱きつきたかった。

尻尾を振って…嬉しいって言いたい。


「でも…僕は」


…貴方に嫌われて

続きの言葉を紡ぐ事は許されなかった。

何故なら

もう…彼の唇はキバによって塞がれていたから…。


優しくて…甘い口吻。


赤丸にとって、初めて直に感じれたキバの部分だった。


「…あの時は良く分からなかった」

好きと言う感情が。

キバは赤丸を抱きしめたまま話し始めた。

「…お前が居なくなるのは…嫌だと思った…。」

ギュ…。

痛いぐらいに彼の腕を感じる。

それほど抱き締められて…

「居なくなるな…」

ずっと…側に居てくれ…。


最高に…嬉しかった。

涙が…又流れる。


でも…今度は

キバが拭ってくれる。


「はい…喜んで」




小さな花が咲いた。






* * * * * * * * * * * *




キバ×赤丸 甘々風味。


これは

ガンモ姐サマと一気にキバ×赤丸に萌になり(笑

勢いで書くと啖呵切った品物です


ハふぅ…★

でも…書いてて楽しかったー★


ぁでも…甘々になっているのでしょうか?(焦

って言うか…

キバの性格が良くわかんなかったのです(死

…赤丸にだけ見せる顔って事で許してやって下さい(逃
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

誰がなんといおうと甘々です!!(イキナリかよオイ)
もうステキすぎです!何が素敵かってもう全てです!!
赤丸はもちろんの事キバも可愛くてもう(悦)
浅瀬さんの所のお絵描き掲示板に勢いでキバかいたらなぜか
キバ×赤丸談議で盛り上がってしまいSSを頂きましてvv
言ってみるものだなァと思いガンモドキ感謝感激雨アラレでございます!!
今度何かお礼と称してヘボ物を送りつけるかもしれませんが
笑って許してください(嫌スギ)


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